南紀ツー 3日目
昨夜の宴は跡形もなかった。
旅、3日目の朝。
3日目となれば旅の疲れも出てくる頃。
今日は早めの投宿をしたいがしかし、
今宵の宿は龍神温泉。
山深き紀州の掌（たなごころ）に位置する。
一昨日問い合わせた時点では、
ここもやはり台風による土砂災害で
辿り着ける幾つかの最寄りルートは寸断されており、
紀伊半島西に位置する有田から
周り込むしか道は無いと言う。
ここからそれはチト難儀なので、
駄目もとで、せめて田辺から目指してみることにした。
ちなみに。
朝飯をたっぷり摂って昼飯は抜き、
その分、宿の夕餉で食い倒れる・・・
これが今旅のルールである。
本日はまずはこちら、
那智の滝から。
変なところに変な停め方を要求され、黙って従う。
子供がふわっと石碑の影から躍り出てきた。
一瞬、滝の精霊！？かと思った。
（比較的マジにそう思う、その登場の仕方だった）
（既にその瀑声に圧倒されている）
いや・・・こいつはすげえ。
そりゃ、祀りたくなるわな。
恐れ入った。
滝のあまりの荘厳さに圧倒されてしまう。
「・・・那智大社、熊野古道はもうよかろう」
そう思ってしまい、実際、足を運ばずに今旅は終わる。
南紀・・・紀州。
思い切って来てみて良かったなと。
紀伊半島南端の串本町まで来た。
橋杭岩で一服後、本当の南端、潮岬には向かわずに、
R42/熊野街道を田辺市まで西進した。
で結局、あっけなく（でもないが）龍神町に着いてしまう。
それでも台風被害の爪痕は其処此処にあって、
例えば給油に寄ったGSの屋根が剥がれ飛んでいたり、
幹線道路から支線に目をやれば
通行止め看板のオンパレードだったりと、
被害のその甚大さを目の当たりにする。
こんな風に役場の真ん前にバイクを停めて、
やたらと写真を撮っては二ヤついているものだから、
不審に思ったのだろう、役所の方がやって来た。
すみません。すぐ出ますから...
「あなたどこから来ました？スカイラインの方？
え、違う？ああそうですか。
いえね、スカイラインで道路陥没！って連絡入ったもんでさ、
これから見に行くところだから、通って来たのなら
状況を伺おうと思ってね。
ええ。今は通れますよ。
一部片側通行だけど」
そう言って緊急車両に飛び乗り、
黄色いライトを回転させながら走り出す役所のオジサンは、
なんとなく吉本の小藪氏を彷彿とさせる方だった。
その小藪氏を追って、私も走り出す。
暫くしてワインディング区間に入ると、
前を行く緊急車両がサクッと道を譲ってくれた。
ありがとう小藪氏。えらいスマートじゃないか。
TVでは感じ悪い（個人の感想です）けど
結構ハナシの分かるヤツなんだね。
（何を言っておるのだ私は）
で、念願の龍神スカイラインである。
スカイライン全行程40余キロの道半ばに位置する、
道の駅/ごまさんスカイタワー。
バイクがわんさか停まっていた。
ええ、わたしゃあそこらにはよう停めやしまへん。
（世間一般ではこれをコミュ障と言うらしいが）
スカイラインはこの後20km余りも続き、
その先には高野山が待っているのだが、
それは明日の楽しみに取っておく。
ここで折り返し、再び龍神町に向かった。
結局、龍神スカイラインとは、
蓋を開ければ普通の3桁国道/山道だった。
なかなかに走り応えのある勾配と
ワインディングの連続ではあったが、
眺望が開けている訳でもなく、
路面がシルキーな訳でもない。
標高を1,200m程まで上げる、
普通の武骨な山岳道路だ。
今回は台風の影響で落ち葉や折れ枝が散在、
また土砂や浮き砂が流れ出ており、
ストレスフリーとは言えない状況ではあったので、
普段はもう少し楽しいのだろうな、とは思う。
ちょいと道草を食う。
がしかし、直ぐ先でやはり通行止めとなっていた。
この日本三大酷道のひとつ、R425を走るのが
今回の旅のメインテーマだった。
いつかまた来れるかなぁとぼんやり考えながら停まっていると、
向こうから作業車がやってきて、
ドライバーのオジサンが窓を開けてニコニコと話し掛けてきた。
「ここ、行きたいの？
駄目だよ。道、こっから先で無くなったから（笑）
え？龍神に泊まるの？
だったら案内してやる。付いてきて♪」
いや、分かるから...とも言い出せず。
竜新温泉 上御殿
有形文化財に登録されている。
yes．予算オーバー。
そんなこんなで15時にチェックイン。
流石に疲労が溜まっていた。
明日はいよいよmugieさんと再会する。
最後にツルんだのは確か、
参謀さんと3人3台で走った、ビーナスライン裏表。
あれは2009年の4月だったから・・・かれこれ10年近くか。
ああ恐ろしい...
4日目 へつづく